トラックのスピードリミッターが90km/hな理由、現役ドライバーの本音

高速道路で追い越し車線をノロノロ走る大型トラックを見て、「なんでそんなにチンタラしてるの?」とイラッとしたことがある人、結構いるのではないでしょうか。

実はあれ、ドライバーがサボってる訳でも性格がのんびりしてる訳でもなく、車についている「スピードリミッター」のせいなんです。

今回は、このリミッターの仕組みと歴史、そして中の人としての本音を語ってみようと思います。

そもそもスピードリミッターって何?

スピードリミッターとは、一定の速度以上アクセルを踏んでも加速しなくなる装置のこと。

大型トラックには、平成15年(2003年)9月から装着が義務付けられていて、時速90km/hで作動するように規定されています。

どんなに気合を入れてアクセルを踏み込んでも、90km/hの壁は絶対に超えられません。

まさに見えない天井です。

導入の背景には、大型トラックによる速度超過が絡んだ重大事故が多発していたことがあります。

国としても「物理的に速度を抑えるしかない」と判断したわけですね。

ちなみに、同じ大型車でもバスにはこの装着義務がありません。

理由は単純で、大型トラックに比べて事故が少なかったから。

バスの運転手さん、日頃の運転お疲れ様です。

2024年に90km/hへ引き上げられたけど…

実は、リミッターが作動する上限速度自体は2024年4月まで「80km/h」でした。

2024年問題への対応や労働環境改善、安全装置の進化・普及などを背景に、ここでようやく90km/hへ緩和されたんです。

ニュースでも「トラックの速度制限、ついに引き上げ!」と話題になりました。

ただ、正直に言うと、現場の実感としては「あ、そう」くらいのものです。

というのも、リミッターの作動域には元々ある程度の余裕があって、実勢速度はすでに87km/h前後まで出ていたドライバーが多かったから。

10km/h分の劇的な変化があったかというと、体感はそこまで大きくありません。

それより、荷主さんから「90キロ解禁されたんだから早く着くよね?」なんて言われる方が正直ヒヤヒヤします。

追い越し車線が「だんご状態」になる理由

大型トラックのリミッターは車種によって作動タイミングに微妙な差があります。

そのため、89km/hのトラックが90km/hのトラックを追い越そうとして、延々と横並びになる「だんご状態」が発生することがあるんです。

乗用車からすると「早く抜けよ!」とイライラする場面かもしれませんが、こちらもこちらで「くっ、あと少しなのに抜けない…」と地味に焦っています。

お互いさまということで、少し大目に見てもらえるとうれしいです。

リミッター解除は絶対にNG

ちなみに、このリミッターを勝手に解除する行為は不正改造にあたり、罰則の対象になります。

速く走りたい気持ちはわかりますが、リミッターは事故を減らすためについているもの。

実際、リミッター導入後の調査では、平成17年の大型トラックによる死亡事故件数が、導入前(平成9〜14年)の平均から40%も減少したというデータもあります。

地味な装置ですが、ちゃんと仕事はしているんです。

まとめ:ノロノロ運転にも理由がある

大型トラックが追い越し車線でゆっくりなのは、性格でも技量でもなく、法律で決められた「見えない天井」のせい。

イライラする気持ちはわかりますが、その裏には事故を減らすための仕組みと、それに従って淡々と運転しているドライバーがいることを、ちょっとだけ思い出してもらえたらうれしいです。

次に大型トラックののろのろ追い越しを見かけたら、「あ、リミッターか」と心の中でつぶやいてみてください。

参考

  • WEB CARTOP「リミッターカットを行なっているとみられる大型トラックが存在」 https://www.webcartop.jp/2024/08/1355102/
  • WEB CARTOP「トラックの速度抑制装置はデメリットも多い!」 https://www.webcartop.jp/2025/09/1707191/
  • トラサポ「2024年4月~トラック最高速度90キロ解禁!」 https://tora-sapo.jp/journal/column-truckspeedmax90km/
  • プレックスジョブマガジン「大型トラックのリミッターとは・解除はできる?」 https://www.plex-job.com/magazine/articles/2109/
  • オートメッセウェブ「大型トラックが追い越し車線をチンタラ走る理由とは」 https://www.automesseweb.jp/2017/04/03/20300

じゃあまたね。

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